平成15年度旧司法試験刑法2
問題文
甲は,20年以上前から乙という名前で社会生活を営み,運転免許証も乙の名前で取得していた。ところが,甲は,乙名義で多重債務を負担し,乙名義ではもはや金融機関からの借入れが困難な状況に陥った。そこで,甲は,返済の意思も能力もないにもかかわらず,消費者金融X社から甲名義で借入れ名目に金員を得ようと企て,上記運転免許証の氏名欄に本名である「甲」と記載のある紙片をはり付けた上,X社の無人店舗に赴き,氏名欄に「甲」と記載し,住所欄には現住所を記載した借入申込書を作成した。次いで,甲は,この借入申込書と運転免許証とを自動契約受付機のイメージスキャナー(画像情報入力装置)で読み取らせた。X社の本社にいた係員Yは,ディスプレイ(画像出力装置)上でこれらの画像を確認し,貸出限度額を30万円とする甲名義のキャッシングカードを同受付機を通して発行した。甲は,直ちにこのカードを使って同店舗内の現金自動支払機から30万円を引き出した。
甲の罪責を論ぜよ(ただし,運転免許証を取得した点については除く。)。
なるほどね、なんか、いろいろと判例が思い起こされるような問題ね。
答案構成
第1 借入申込書作成:私文書偽造
偽造とは・文書とは
第2 キャッシュカードを発行させた行為:詐欺
第3 30万円の引き出し:窃盗
文書偽造がメインだと思うけど、30万円の引き出しは、キャッシュカードの発行とはどういう関係にあるのかしら・・・やっぱりそれぞれ客体が別だから併合罪なのかしらね。
ちょっとシンプルすぎるような気がするけど・・・
いや、よく見ると、運転免許証と借入申込書、二つあるのね。運転免許証は本名ではあるけれど、名前を偽ったとして公文書偽造になりそうね。じゃあ、借入申込書は?こっちは本名で記載していて、これを偽造というための理屈は何かあるのかしら・・・
たとえば、偽造にしたいから、名義人は「多重債務を負っていない甲」で作成者は「多重債務を負っている乙こと甲」という理屈とか・・・
自信がなくなってきたわ・・・答え合わせを。