司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

 

答案

第1 甲の罪責

1 Xは頭部より流血し、意識不明の状態であるから「病者」にあたり、甲はXの子であるから、保護責任者にあたり、Xを病院前路上に放置する行為は、Xの生命身体に対する抽象的危険を生じさせる以上、「遺棄」にあたる。
2 因果関係は当該行為の危険が現実化したといえるどうかを、①先行行為の危険性②後行行為の異常性、③後行行為の寄与度等をもとに検討する。以下あてはめ→以上より、甲の行為とXの死との因果関係を肯定できる。
第2.乙の罪責

1 乙の殴打行為は殺人罪の実行行為である。

2 上記規範からあてはめ→肯定or否定
第3.丙
1 実行行為とは結果発生の具体的危険を発生させる行為をいう。そして、不作為の場合には、処罰範囲を適正にするため①作為義務②作為の可能性・容易性が満たされる場合に限り、実行行為にあたる。→あてはめ→よって放置行為と移動行為は実行行為にあたる。
2 保護責任者遺棄の限度で甲と共同正犯

 

丙について、二つの行為をどう見るかは本当に難しいわね。

①放置行為が殺人行為、②移動行為も殺人行為

とするか

①放置行為と②移動行為をまとめて一つの殺人行為

にするか、迷うわね。

それと、いずれの構成をとるにしても、②移動行為を不作為とみるのか、作為とみるのかもよくわからないところね。ただ、丙がするべき行為は、②移動行為をしないことではなくて、病院の人を呼ぶなりの別の行為をすることだったのよね。そうすると、この理屈はまさに不作為犯となるのではないかしら。

作為犯の場合には、たとえば、ピストルを撃って人を殺した人を考えてみると、その人がするべき行為は「ピストルを撃たない」という行為よね。それとパラレルに考えられそうな気もするわ。

より簡潔に言えば、

A:求められた行為:病院に連絡すること(作為)→じっさいにはしなかった(不作為)

B:求められた行為:ピストルを撃たないこと(不作為)→実際には撃った(作為)

ということね。あっているかどうかは分からないけど。

この場合に悩ましいのは、②移動行為がXの死の危険を高めていることよね。

この点は、①放置行為と②移動行為が相まって死の危険を発生させている、ということにするため、1個の行為として処理したいわ。

(こういう検討は、正しいかどうかはわからないけど(ひとりごとだし・・・)今後の何かの参考になればいいわよね)