平成14年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)
答案
1 乙の罪責
乙は、Aに対する傷害罪の構成要件を満たす。
しかし、乙は、いきなりAから鉄棒で殴りかかられたので、正当防衛が成立する。
次にBに対して傷害を負わせている点を検討する。
まず故意についてであるが、故意とは、違法性を基礎づける事実、すなわち構成要件該当事実の認識である。その認識があれば、反対動機形成の契機が与えられたことになり、責任非難が可能になるからである。
本件では乙はAに対する故意が認められるので、責任非難が可能であり、具体的に認識していないBに対する故意も認められる。→もっとも緊急避難が成立する(規範・あてはめ)。
2 甲の罪責
甲はAに対する傷害について乙と共謀しており、傷害罪の共謀共同正犯が成立する。
そして、共同正犯は、教唆・幇助と異なり、各人が独立した正犯であるから、違法性が連帯することはない。したがって、違法阻却事由たる正当防衛はそれぞれについて要件の該当性を検討すべきである→正当防衛不成立
甲のBに対する傷害について、まず上記のとおり認識していないBについても故意が認められる。
また違法性が連帯しない以上、緊急避難についても個別に検討すべきところ、甲には緊急避難は成立しない(積極的加害意思があるため)
あんまり、コメントするところがなかったわね。
故意の定義→故意非難の根拠→故意は一人に対するもので足りる、という流れは、なんか論理的でいいわね。