平成16年度旧司法試験刑法1
問題文
甲は,交際していたAから,突然,甲の友人である乙と同居している旨告げられて別れ話を持ち出され,裏切られたと感じて激高し,Aに対して殺意を抱くに至った。そこで,甲は,自宅マンションに帰るAを追尾し,A方玄関内において,Aに襲いかかり,あらかじめ用意していた出刃包丁でAの腹部を1回突き刺した。しかし,甲は,Aの出血を見て驚がくするとともに,大変なことをしてしまったと悔悟して,タオルで止血しながら,携帯電話で119番通報をしようとしたが,つながらなかった。刺されたAの悲鳴を聞いて奥の部屋から玄関の様子をうかがっていた乙は,日ごろからAを疎ましく思っていたため,Aが死んでしまった方がよいと考え,玄関に出てきて,気が動転している甲に対し,119番通報をしていないのに,「俺が119番通報をしてやったから,後のことは任せろ。お前は逃げた方がいい。」と強く申し向けた。甲は,乙の言葉を信じ,乙に対し,「くれぐれも,よろしく頼む。」と言って,その場から逃げた。乙は,Aをその場に放置したまま,外に出て行った。 Aは,そのまま放置されれば失血死する状況にあったが,その後しばらくして,隣室に居住するBに発見されて救助されたため,命を取り留めた。
甲及び乙の罪責を論ぜよ(特別法違反の点は除く。)。
簡単そうに見えるけど・・・
第1 甲の罪責
1 刺した行為(殺人未遂)
2 中止犯の成否(※)
第2 乙の罪責
1 甲に声をかけた行為(不作為の殺人)(※)
要件→あてはめ
第3 結論
甲、乙ともに殺人未遂の単独犯。
中止犯が成立するかについては、責任減少を理由にしないと、甲には中止犯が認められないのかしら。そのうえで、やれることを全部しないとダメだと書くと。
不作為の殺人については要件が大切ね。とにかく作為義務を規範に盛り込んで、甲をその場から遠ざけて自らがAの生死を支配しうる立場になったことをあてはめると。
簡単かな?