平成17年度旧司法試験民事訴訟法第2問
答案
第1 1
前訴認容判決→執行力発生→前訴と同じ訴訟物である後訴は、訴えの利益がないのが原則→時効中断の必要があるなどの事情があれば、例外。
→かかる事情があるか
第2 2
前訴判決確定→既判力発生
既判力=確定判決の主文中の判断に生じる、後訴裁判所・当事者への拘束力
既判力の根拠=紛争蒸し返し防止・当事者への手続保障
例外→上記根拠を踏まえて、前訴訴訟物と後訴訴訟物が矛盾関係にある場合には、後訴においても既判力を及ぼしてよいと考える。
本問→まず前訴口頭弁論終結時の、甲の乙に対する所有権に基づくA土地明渡請求権の存在につき、既判力が生じる。
→乙の後訴の訴訟物は、前訴と矛盾関係→前訴既判力が及ぶ
→前訴基準時後の権利変動の有無が審理対象事項
第3 3
前訴判決確定→承継人の範囲(=紛争の当事者たる地位を移転された者(?))→丙にも前訴既判力が及ぶ
=前訴基準時における甲の乙に対する所有権に基づくA土地明渡請求権の不存在につき既判力が及ぶ
→前訴口頭弁論終結後の新事由があるか
承継人の範囲の定義は、まあ何か書くとして・・・
「既判力の範囲」という話をするときは、だいたい主文に包含されるものに限られる、という話をするわよね。
でも今回は、前訴と後訴で訴訟物が違うときに、それでも前訴既判力が及ぶのかっていう話なのよね。これも既判力の範囲の問題ってことになるんでしょうけど、戸惑ったわね・・・それで、戸惑った結果、いつもは前訴と後訴で訴訟物が同じ場合を考えていたんだなあって気づくのよねー。
それともう一つ、私の失敗だけど、前訴も後訴も給付訴訟なのよね・・・だから訴訟物は給付請求権について生じる。私はなんか土地の所有権について生じるみたいに書いたけど、確認訴訟じゃないんだから・・・それにそんなことかいたら理由中の判断にも及ぶんですか?って聞かれたときに答えに窮するわね。
さらに言えば、既判力は「生じる」ときもあれば「及ぶ」ときもある。まず「生じ」て、それから「及んで」いくのよね。このあたり、答案書く人はきちんと書かないといけないなあと思いました。
反省しました。