司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成16年度旧司法試験民事訴訟法第2問(玲子のひとりごと・答案編)

平成16年度旧司法試験民事訴訟法第2問

答案

1 小問1
(1)全部棄却判決。

(2)既判力について
既判力は,原則として,主文に包含されるもの限り及び,理由の判断には及ばないが,相殺の抗弁が提出された場合は,例外的に理由の判断に及ぶ(114条)。

既判力が原則として主文にのみ及ぶのは,攻撃防御を尽くした当事者の自己責任+理由中の判断にまで及ぶとすると,裁判所に負担だから。

相殺の抗弁については蒸返し防止+当事者の自己責任。

本問既判力は,甲債権の不存在と,乙債権の不存在について及ぶ。

2 小問2
(1)全部認容判決

(2)既判力について
甲債権の存在と乙債権の不存在について及ぶ。

なぜなら、114条2項は,反対債権の「成立」のみならず,「不成立」についても及ぶとしている(蒸返し防止+手続保障ありという点は上記規範通り)。

3 小問3
(1)請求認容判決

(2)既判力

 全債権の不存在

なぜなら

→原則は不可・仮定に仮定を重ねるから

→しかし、訴訟外ですでになされた相殺は仮定ではなく事実であること+丙に及ばないと不都合(蒸し返しや債権の二重利用の恐れも)+紛争の一回的解決

3にはびっくりした・・確かに書こうとしながら、「あれ、なんで丙には及ばないのかしら・・・」とは思ったのよ。それで「たしか仮定が重なるから、みたいな理由だったかなあ」と思ったの。それから問題文を見て、

「訴え提起前にこれを自働債権として乙債権と対当額で相殺した 」

って書いてるから、「これって仮定が重なるの?」と思ったのよね。

それで他の方の答案を見ると、今回は原則の事例とは違う応用だと書いてあるのね・・・ほんとに、勉強になるわ・・・