司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成19年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・検討編)

平成19年度旧司法試験刑法1

 

第1問
甲,乙及び丙は,事故死を装ってXを殺害しようと考え,丙がXを人けのない港に呼
び出し,3名でXに薬剤をかがせて昏睡させ,昏睡したXを海中に投棄して殺害するこ
とを話し合って決めた。そこで,丙は,Xに電話をかけ,港に来るよう告げたところ,
Xはこれを了承した。その後,丙は,このまま計画に関与し続けることが怖くなったの
で,甲に対し,電話で「待ち合わせ場所には行きません 」と言ったところ,甲は 「何 
を言っているんだ。すぐこい 」。 と答えた。しかし,丙が待ち合わせ場所である港に現れなかったので,甲及び乙は,もう丙はこないものと思い,待ち合わせ場所に現れたXに薬剤をかがせ昏睡させた。乙は,動かなくなったXを見て,かわいそうになり,甲にX殺害を思いとどまるよう懇請した。これを聞いて激怒した甲は,乙を殴ったところ,乙は転倒し,頭を打って気絶した。その後,甲は,Xをでき死させようと岸壁から海中に投棄した。なお,後日判明したところによれば,Xは,乙が懇請した時には,薬剤の作用により既に死亡していた。
甲,乙及び丙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く 。。)

 

はっきり言って、分からないわね、難しすぎて。

答案構成

第1 甲の罪責

 1 殺人罪ー実行の着手あり

 2 故意ー因果関係の錯誤

第2 乙の罪責

 1 殺人罪ー実行の着手あり

 2 中止犯の成否

第3 丙の罪責

 1 殺人罪の実行の着手の有無→否定(※)

 

まず、どの時点を殺人の実行の着手とするかが問題ね。答案構成上、こん睡させたところが実行の着手でしょう。

そうすると、甲については因果関係の錯誤を述べるだけで足りるわね。

乙については中止犯の成否を述べることになる。

丙については、傷害に関する実行の着手のみを認めることになるかしら。そうすると、傷害致死までいくのかもしれないわね。

論点としては、「実行の着手」が大々的に展開したい論点かしら。たしか、その後の殺害行為までの間の近接性・連続性がポイントだったはず。

 

さて、答え合わせをしてみましょう。