司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成16年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・検討編)

平成16年度旧司法試験刑法2

 

問題文

 甲は,Aとの間で,自己の所有する自己名義の土地を1000万円でAに売却する旨の契約を締結し,Aから代金全額を受け取った。ところが,甲は,Aに対する所有権移転登記手続前に,Bからその土地を1100万円で買い受けたい旨の申入れを受けたことから気が変わり,Bに売却してBに対する所有権移転登記手続をすることとし,Bとの間で,Aに対する売却の事実を告げずに申入れどおりの売買契約を締結し,Bから代金全額を受け取った。しかし,甲A間の売買の事実を知ったBは,甲に対し,所有権移転登記手続前に,甲との売買契約の解除を申し入れ,甲は,これに応じて,Bに対し,受け取った1100万円を返還した。その後,甲は,C銀行から,その土地に抵当権を設定して200万円の融資を受け,その旨の登記手続をし,さらに,これまでの上記事情を知る乙との間で,その土地を800万円で乙に売却する旨の契約を締結し,乙に対する所有権移転登記手続をした。
 甲及び乙の罪責を論ぜよ。

 

 

これまた、なんか新司法試験みたいね。

さて答案構成は

第1 甲の罪責

 1 Bに売った行為(横領罪・詐欺罪)(※)

 2 抵当権設定行為(背任罪)

 3 800万円での売却(横領罪)

第2 乙の罪責

 1 売買契約(横領罪の共同正犯)

 

Bに売った行為は横領罪か背任罪かという問題があるわね。複雑な議論に立ち入らないで、あっさり済ませて横領罪の検討をしたいわね。

後は、要件に当てはめるだけでしょう。

乙については、非身分犯の加功ね。

あ、そうだ。横領罪の既遂はいつか、という論点があったわね。最後の800万円の売買は移転登記手続きまで完了しているから、ここで初めて既遂になると書くと、うまく問題文を使えるわね。

でも、既遂時期ってどういう解釈から決めるのかしら。不法領得の意思の発現があれば、ただちに既遂ということでいいと思うのだけど・・・不動産だけは異なった配慮・・・刑法の謙抑性?があるのかしらね。

 

さて、答え合わせをしてみましょう。