平成17年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)
第⒈ 乙の罪責
1 侵入行為建造物侵入
2 Aの絵画を持って倉庫から出ている行為は窃盗罪にあたるので、乙は「窃盗」
そして逃げるためにBに暴行してるので「逮捕を免れ」るためといえる。
3 よって事後強盗。
4 その後、B死亡し、乙丙どちらの暴行によるものか不明だが、乙は丙と共同正犯になるので、死亡結果も帰責できる。
5 以上より、事後強盗致死罪
第⒉ 丙の罪責
1 まず事後強盗は「窃盗」を身分とする身分犯である。
非身分者も身分者の行為を利用することによって法益を侵害しうるのであるから、65Ⅰは真正身分犯、Ⅱは不真正身分犯に関する犯罪の成否と科刑をそれぞれ定めたもの。
したがって、丙には事後強盗罪が成立する。
2 さらに、死亡結果を帰責できるか?承継的共同正犯の成否
死亡の結果は重大であり、207条によっても帰責できないと解する。
承継的共同正犯は否定。
第⒊ 甲の罪責
1 住居侵入の教唆罪
2 窃盗の教唆行為。
未遂の故意では、既遂の教唆は認められないのではないか。
共犯の処罰根拠→間接的に法益侵害結果を惹起→とすれば、正犯と同様、結果発生の認識は必要。
既遂の教唆の故意は認められない。
3 住居侵入のみ成立
いやーなるほどねー乙が蹴ってから、丙が登場したのね!
これでは丙に死亡の罪責を負わせられるのかが問題になるはずね。
それと、未遂の教唆では「教唆の故意とはいえない」という人もいるのよね。
確かに、法益侵害の認識がないのであれば、そもそも教唆の故意とは言えないのかも・・・ただ、抽象的な可能性があるのであれば、未遂の故意の限りでは認められる可能性もあるかも・・・あれ、これは不能犯の論点に似ているわね。
いやはや、手ごわい問題でした。