司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成18年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

平成18年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

 

 

第1 甲の罪責
1 甲がパソコンを得た行為について詐欺未遂罪(246条1項、250条)の成否を検討する。クレジットカードの加盟店は、カード使用者に正当な権限が無い事に気が付けば、信義則上(民法1条2項)その使用を拒否する義務がある。そうすると、甲が名義人と偽ってYにカードを提示した行為は、Yの処分行為に向けた欺く行為といえる。
 もっとも、乙は、甲にカードの使用権限が無いことに気が付いており、錯誤に陥っていない。そうすると、欺罔行為と処分行為の間に因果関係が無いといえる。従って、甲には詐欺未遂罪(246条1項、250条)が成立する。
2 甲がB名義で売上票に署名し、それを乙に渡した行為について私文書偽造罪(159条1項)、同行使罪(161条1項)が成立する。 
⒊ これらは順次手段目的の関係にあるので牽連犯(54条1項)となる。


第2 乙の罪責
1 乙が甲にパソコンを渡した行為について背任罪(247条)の成否を検討する。
 乙は、X経営の電化製品販売店舗において業務全般を統括する立場にあったので、「他人のための事務処理者」であるといえる。
 乙は店舗の販売実績を上げるとともに店長としての地位を保とうとしていたという。
 この場合、主たる目的がいずれにあるかによって図利目的の有無が判断される。
 この点、乙は店舗の販売実績以上に店長としての地位を保つことを主たる目的としていたと考えられる。従って乙に図利目的があったと認められる。
さらに、カード会社から回収できない危険性が有る以上、経済的な財産上の損害もあるる。
 これにより乙に背任罪(247条)が成立する。
2 乙がAから立替払いを受けた行為について詐欺罪(246条1項)の成否を検討する。
Aの担当者Cは、売上票が偽造であると知れば支払を拒否したはずであるから、乙が、正当な売上票であるかのように装って請求した行為は、欺罔行為といえる。
これによりCは錯誤に陥り、Xに支払をしており、Aに財産上の損害が発生している。
従って乙に詐欺罪(246条1項)が成立する。
乙には以上の犯罪が成立し、併合罪(45条前段)となる。

 

 

だいたい予想通りだったけれど、背任罪の「主たる目的」は気づかなかったわ。

規範を立てて、きちんとあてはめたいところね。上の答案例は適当だけど・・・