司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成19年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成19年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

 

第1.甲の罪責
1.Xを死亡させた点
(1) 実行行為について
実行行為とは、結果発生の具体的危険を有する行為であり、その内容は行為者の主観、計画、後行行為への近接性等を総合的に考慮して判断すべきである。
そうすると、こん睡させた後は死亡させることに障害はほとんどないことなどから、薬剤を吸引させる行為は殺人罪の実行行為といえる。
また、故意責任の本質は、反規範的人格的態度に対する道義的非難であるから、同一構成要件の範囲内での錯誤は故意を否定しない。よって本件でも故意は否定されない。
以上から,甲には殺人罪が成立する。

また、乙を殴った行為は傷害罪となり両罪は併合罪

第2.乙の罪責
1.乙は薬剤を吸引させる行為を甲と共同しているため、殺人罪の共同正犯(60条)が成立する。

では、中止犯は適用されないか。この点、結果発生のため直接適用はできない。

しかし、中止犯の必要的減免の根拠は,任意に犯罪を中止した点で,事後的に責任の減少が認められるからである。よって,結果が発生している場合でも,中止行為があれば,中止犯の準用を肯定しうる。
 本問で,乙は海中投棄行為を中止しており、甲に殴打され失神されるに至るまで懇請をしていることから,真摯性も認められる。よって,中止犯の準用が認められる。
3.以上から,乙は殺人罪の罪責を負うが,必要的に刑が減免される。
第3.丙の罪責
1.上記同様に殺人罪の実行の着手を検討しこれを肯定
共謀からの離脱を検討する。
犯罪の実行の着手後には、精神的因果性のみならず物理的因果性の積極的除去が必要→ 本問の丙は既にXを電話で犯行現場に呼び出しており、着手しているが,その後に物理的因果性を除去するための積極的行為をしていない。従って,離脱を認めることは出来ない。
よって丙には甲乙との殺人の共同正犯が成立する。

 

いやー丙に対しては厳しいわねー

呼び出した時点ですでに実行の着手ありということになるのかしら・・・そうしないと共犯からの離脱の論点を書けないけど・・・

もし、呼び出し行為の時点では実行の着手がないとしたらどうかしら・・・あら・・・それでも殺人に向けた因果の流れはすでに始まっている。そうすると、こういう理屈は立つのでは?

「共犯の処罰の根拠は、共犯に心理的因果性や物理的因果性を及ぼして犯罪を実現することにあるから、共犯から離脱するためには、自らが設定したそれらの因果性を除去しなければならない。

本問では、呼び出し行為自体は、殺人罪の実行の着手とは言えない。しかし、甲乙丙の立てた殺害計画の一部としては実行されている。殺害に向けて、丙は、心理的因果性のみならず物理的因果性も生じさせたのである。

そうすると、丙が共犯から離脱するためには、心理的因果性のみならず物理的因果性をも除去しなければならない。」

どうかしら。

この理屈なら、呼び出し行為に殺人罪の実行の着手を認める必要がなくなるわ。

まあ、そんなところで努力をしても、結論は何も変わらないのだけど・・・まあ・・・理屈を通しただけなんだけど・・・ただの自己満足ですけど・・・