司法試験であそぶ

司法試験について考えたこと

平成14年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成14年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編) 答案 1 乙の罪責 乙は、Aに対する傷害罪の構成要件を満たす。 しかし、乙は、いきなりAから鉄棒で殴りかかられたので、正当防衛が成立する。次にBに対して傷害を負わせている点を検討する。 ま…

平成14年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・解答編)

平成14年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・解答編) (出題趣旨)本問は,共犯者相互間において正当防衛の成否に関する事情が異なる点が問題となり,事実の錯誤に関する論点をも伴う事案を題材にして,これらに関する各論点についての理解度を問うの…

平成14年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編)

平成14年度旧司法試験刑法1 問題文 甲は、Aに電話で罵倒されたため憤激し、A方に赴けば必ずけんかになるだろうと思いながら、この機会にAを痛めつけようと考え、こん棒を用意するとともに、友人の乙に、こん棒を持っていることは隠し、これからA方に話…

平成15年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

平成15年度旧司法試験刑法2 答案 1 甲が運転免許証に「甲」と記載された紙片を貼った行為 「偽造」とは、文書の作成名義人と作成者の人格の不一致を生じさせることをいう。 本件では、一般人の認識に照らせば、多重債務を負わない甲が作成名義人であると…

平成15年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編)

平成15年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編) (出題趣旨)本問は,長期間使用していた通称に代えて,実名を用いて借入申込書等を作成するなどした上,自動契約受付機を介して金員を借り入れたという事例を素材として,事例を的確に把握してこ…

平成15年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・問題編)

平成15年度旧司法試験刑法2 問題文 甲は,20年以上前から乙という名前で社会生活を営み,運転免許証も乙の名前で取得していた。ところが,甲は,乙名義で多重債務を負担し,乙名義ではもはや金融機関からの借入れが困難な状況に陥った。そこで,甲は,…

平成15年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成15年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編) 第1 甲の罪責1 Aを殴打した行為 同行為は、殺傷能力のある道具を用いて、後頭部という身体の枢要部を力任せに殴打する行為であり、死亡結果発生の現実的危険性ある行為であり、殺人罪の実行行…

平成15年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・解答編)

平成15年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・解答編) (出題趣旨)本問は,当初の殺害行為によっては相手方を死亡させるに至らなかったものの,死亡したものと誤信し,他の者と一緒に行ったその後の行為によって実際に殺害の結果が実現したという事例…

平成15年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編)

平成15年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編) 第1問 問題文 甲は,自宅で,知人Aと口論になり,激高してとっさに殺害することを決意し,部屋にあったクリスタルガラスの花瓶でAの後頭部を力任せに殴打した。Aは,頭蓋骨を骨折する重傷を負…

平成22年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

平成22年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編) 第1 内金名下に7万円預かった点 詐欺罪が成立する。 第2 7万円を費消した点 1 Bとの関係 詐欺罪が既に成立しているので、費消は不可罰的事後行為であり、横領罪は成立しない2 A社との関係…

平成22年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編)

平成22年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編) (出題趣旨)本問は,紳士服販売店の営業担当者が顧客にオーダースーツを販売する旨虚偽の事実を述べてスーツを販売する契約を締結し,その代金名目で相当対価の金銭を受領するとともに,同販売店…

平成22年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・検討編)

平成22年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・検討編) 問題文 第2問甲は,紳士服の専門店であるA社の営業担当者として高級紳士服の販売を担当していた。甲は,遊ぶ金に困ったことから,顧客から金銭を入手してこれに充てようと考え,A社を訪れたB…

平成22年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成22年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編) 第1 甲の罪責 1 B社に侵入し、現金を盗んだ点につき、建造物侵入罪及び窃盗罪。 2 B社建物が全焼したことについて 不作為の実行行為性は、自由保護の観点から、作為義務、作為の容易性・可能…

平成22年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・解答編)

平成22年度旧司法試験刑法1 (出題趣旨)本問は,窃盗犯人が知人の協力を得て事務所に侵入して窃盗をしようとしたが,計画を変更して隣の事務所に侵入して金品を窃取した際,過失により出火させながら消火せずに逃走したところ,その後,同事務所に戻って…

平成22年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・検討編)

平成22年度旧司法試験刑法1 問題文 第1問甲は,かつて働いていたA社に忍び込んで金品を盗もうと考え,親友であるA社の従業員乙にこの計画を打ち明けて,その援助を依頼した。乙は,甲からその依頼を受けて,甲のために協力したいと思い,甲に「社員が…

平成21年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

平成21年度旧司法試験刑法2 答案 第1 甲 1 刑法159条における偽造とは、文書成立の真正性を偽る行為、つまり名義人と作成者の同一性を偽ることをいう。名義人は一般人から見てその文書の作成主体とみうるもの、作成者は実際に作成したものである。 …

平成21年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編)

平成21年度旧司法試験刑法2 (出題趣旨)本問は,国際運転免許証に酷似した文書を偽造し,その購入を持ち掛けた上,真実は宝石の売買がないのに,売買があったと仮装し,信販会社とクレジット契約を締結して信販会社に立替払をさせるという方法により金銭…

平成21年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・検討編)

平成21年度旧司法試験刑法2 第2問甲は,国際旅行協会(AIT)という団体を設立し,AITには有効な国際運転免許証を発行する権限がないにもかかわらず,AITの名前で,正規の国際運転免許証に酷似した文書を作成して,顧客に販売することにした。 …

平成21年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成21年度旧司法試験刑法1 答案 第1 乙の罪責 1 乙は、甲と共にAの頭部を殴打し、Aを路上に転倒させた上、丙と共に倒れたAの頭部を多数回殴打する暴行を行った(以下、総称して「本問暴行」といい、そのうち各人が直接行った部分を各々「甲の本問暴…

平成21年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・検討編)

平成21年度旧司法試験刑法1 (出題趣旨)本問は,相手方による急迫不正の侵害に対して,共同で反撃行為としての暴行を加え,更に他の者がこれに加担して暴行を加え続けたところ,相手方が死亡したが,死因がいずれの暴行によるかは不明であったという事例…

平成21年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編)

平成21年度旧司法試験刑法1 (問題文) 甲及び乙は,路上を歩いていた際,日ごろから仲の悪いAと出会い,口 論 と な っ た と こ ろ ,立 腹 し た A は 甲 及 び 乙 に 対 し 殴 り か か っ た 。甲 は ,この機会を利用してAに怪我を負わせてやろ…

平成20年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

平成20年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編) 第1 甲1 まず、Xの保管する指輪を窃取した行為は窃盗罪を構成し、乙と共同正犯となる。ただし、甲は刑を免除される。2.次に、丙に盗品であることを秘して指輪売却を申し向けた点は詐欺の未遂…

平成20年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編)

平成20年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編) (出題趣旨)本問は,親から財物を窃取した子2名が盗品であることを秘してこれを古物商に売却し,うち1名がその代金を自己のために費消し,他方,その古物商も盗品であることに気付き,そのこと…

平成20年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・問題編)

平成20年度旧司法試験刑法2 問題文 甲はXとその配偶者Yとの間の子であり,乙はXとその内縁の妻との間の子であってXから認知されている。甲と乙は,Xと同居している。甲は Xが別居中のYから盗んだY所有の指輪を保管していることを知った 。 そこで…

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編)

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・答案編) 答案 第1 甲の罪責 1 Xは頭部より流血し、意識不明の状態であるから「病者」にあたり、甲はXの子であるから、保護責任者にあたり、Xを病院前路上に放置する行為は、Xの生命身体に対する抽象…

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・解答編)

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編) (出題趣旨)本問は,被害者と同居している2名が,他の者の暴行により自宅内で負傷した被害者を病院前に搬送して放置したところ,さらに,うち1名が被害者を人目のつかない場所に移動させ,後刻…

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編)

平成20年度旧司法試験刑法1(玲子のひとりごと・問題編) 第1問 甲は,甲の母X,妻乙及び甲の友人の子である大学生丙と共に暮らしていた。日ごろから高齢であるXの介護のため精神的・肉体的に疲れきっていた乙は,今の状況から逃れるにはXを殺害する…

平成19年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・答案編)

平成19年度旧司法試験刑法2 答案 第1 甲の罪責1 うそをついて制帽と業務日誌を持ち出した行為偽計業務妨害罪は成立するか。権力的公務は「業務」にあたらない。なぜなら,妨害を排除する実力がある以上重ねて保護する必要がないからである。他方非権力…

平成19年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・解答編)

平成19年度旧司法試験刑法2 (出題趣旨)本問は,甲が,交番で勤務中の警察官を困らせるため,虚構の事故を申告し交番から出動させて制帽と業務日誌を持ち出した後,業務日誌の返還を依頼された乙が警察官に金銭を要求したという事例を素材として,事案を…

平成19年度旧司法試験刑法2(玲子のひとりごと・検討編)

平成19年度旧司法試験刑法2 問題文 第2問甲は,交番で勤務する警察官Xに恨みを抱いていたことから,Xを困らせるため,Xが仕事で使っている物を交番から持ち出し,仕事に支障を生じさせようと考えた。そこで,甲は,Xが勤務する交番に行き,制帽を脱…